★ひとファイル★

馴染んだ、親しんだ、愛した、嫌った、わたしが出会ったひと達のお話

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朝から自身の仕事の顧客宅へ。

20分ほど事務的な話をして

そのまま彼の職場へ向かう。

今日は商品の買い付けを頼まれていたのだ。

月に数回この買い付けに向かう。

彼の職場から車で5分とかからない場所なのだが、彼は職場を無人には出来ないため

この簡単な買い付けにすら行けないというのが、わたしの存在理由でもあるわけだ。

 

わたし自身の仕事との兼ね合いもあるため、

時期によっては短時間で済むとはいえ、煩わしい依頼でもある。なにより買い付け資金を預かって往来するのは気分が良いことではない。

そんな気分を知ってか知らずか、この依頼だけは絶対であり、彼が前日わたしを罵倒しようが、叩きまくろうが、事前に先方に買い付け約束をしている以上、行くと決まっていたら行く。

この依頼を受けるということは、

職場で役に立たなくとも、貢献度で言えば、なかなかの度合いの筈なのだが、

労いの言葉でも求めようものなら

火炎噴射とバズーカ砲を1度にくらいそうだから、当然ヅラで引き受け続けてきた。

 

そんなわけで、昨日、この買い付け時間について確認していたら、

「ついでに車のオイル交換もしてきてもらおうかな」と、彼が言う。

ずいぶんさらりと言ってくれるものだが、

なぜ、それをついでに頼めるのかわたしには

わからない。

オイル交換は帰宅途中に立ち寄れば

ほんの30分で終わる。

混雑というものが皆無な、この田舎町では

予約しなくてもそのくらいで終わる。

しかも、昨日今日と彼はアフター5フリーである。

さらに加えると、わたしの車のオイル交換をしなくてはと思い、時間がどこで取れそうか、と

考えていた矢先のことである。

自分のを後回しにして彼のを済ませてきた。

 

こういうことは多々ある。

頼まれて事が

灯油だったり、ビールだったり、どれもこれも

不可解なタイミングなのだ。

夜、わたしが在宅。彼がバイトに向かう前に

ビールを頼まれた時には、わずかに眉が動いてしまった。

着替えてビールを買いに行けと?

帰り道にコンビニなりスーパーなりに

立ち寄れば買えるじゃないか。

 

彼のそういったわたしに対する扱いは

関白な亭主のようであり

甘えたな子どものようであり

いずれにせよ、わたしをイラつかせてきた。

 

なにかをさせることによって

自分が相手にしてあげていることから

引き算して、バランスを取るような、そういうけち臭さが嫌なのだ。

 

自分の方が

経済、精神面の負担が大きい、と彼自身が感じるのは勝手だが、

感じだから事実そうなのだ、と決めつけるのは

いかがなものか。

 

あー

だめだ。

 

 

どこを掬い取れば

嫌いにならないでいられるのだろう。

 

5月の終わりにしてすでに

帰宅同時に冷房を入れ、部屋を冷やし

寒さに毛布に包まりながら

飲めないアルコールを少し口にした。

 

 

こんな暮らしは嫌だと口にしたら

得意満面で彼は語り始めるだろう。

わたしが起因であり、これは起因から生じた結果にすぎないと。

教えてあげたい。

その結果も、ヒトをすげ替えれば

違うパターンがあり、

単にあなただからこうなっているのだと。