★ひとファイル★

馴染んだ、親しんだ、愛した、嫌った、わたしが出会ったひと達のお話

いちばん近くて遠い人 7

今回の4回目の暴力は

頭とは違うところが反応してしまったのか

かれこれ10日も経つというのに

わたしの意思が彼と交わる方向へと向いて行かない。

 

これまでは

翌日、翌々日には冷静な話し合いの場をつくり

互いの傷を確認し合い

これまで、よりも、これから、を

考えることに集中して先に進んできた。

 

今回は

直ぐに出て行け、をいったん回避して

先を見据えてゆくから、逃げないから、という事を条件に

すこしの間、わたしをそっとしておいてほしいと申し出た。

 

彼への恐怖心が拭いきれず

同じ空間で前のように隣に座り、

談笑したり、いっしょにごはん食べたり

テレビを見たり、そういう日常にすぐに移行してゆくことが難しいと考えたからだ。

 

さいわい、彼もそれでいいという。

 

5日もすればニワトリハナコは復活する予定だった。

 

なのだが

 

帰宅するなり自分の部屋にこもり、

彼が隣室でゲームをしている様子を聞きながら

仕事の続きをしたり

携帯でネット徘徊したりして過ごしたり

そんなふうに過ごしているうちに

どうやって彼と向き合っていくのか

向き合っていこうと自分がしているのか

わからなくなってきたのだ。

なにより、いまのスタイルが前よりも

正直ラクなのだ。

 

業を煮やした彼がまた暴れだすかもしれない。

もしかしたら

いますでに闇に堕ちているのかもしれない。

 

なのに

焦る気持ちが湧いてこない。

 

安全なパーソナルスペースを確保したわけでなく

彼の気持ちひとつで家無し連絡手段なし金無し

無し無しオンナに成り下がるというのに

危機感が薄すぎる。

 

いますぐ別れたいのかといえばそうでもない。

彼にだって良いところもあるし

いっしょに暮らしてきたのだ。どうあれ情もある。

 

ならまた気持ちを切り替えて

彼の好きであろうわたしに戻ろうと努めてゆきたいのか、というと

それが出来るとも思えない。

 

いくどか彼に提案したように

シェアハウスの住人扱いしてくれたら

それがベストなのではないか、と考える。

ひとりよりはマシ。

生死に関わる緊急時には助っ人が居る。

お互いに干渉しすぎない。

金銭貸し借りはしない。

居住にかかる費用は折半。

自分たち以外を家に入れない。 

帰宅時間はなるべく知らせておく。

口論にも暴力沙汰にもなりようがないではないか。すばらしい。

 

まぁ、これは初期費用すら用意出来なかったわたしが提案したところで

かましいわっ、で一蹴されてもおかしくない提案なのだが。

 

今日は土曜。

あれ以来会話はラインのみ。

彼からの買い物依頼とわたしの仕事の都合を

知らせるのみ。

口頭で告げても返事をしてくれないのだ。

 

今日明日を過ごし

月曜に今月の仕事を片付けたら

火曜あたりにはさすがにアクションを起こさねばならないだろう。

 

アガサクリスティー

「春にして君を離れ」みたいだ。

 

最後にわたしはどちらを彼に投げかけるのだろうか。

さほど時間的に猶予はないのに

焦りのないこの気持ちはどこへ向かうのだろうか