★ひとファイル★

馴染んだ、親しんだ、愛した、嫌った、わたしが出会ったひと達のお話

80

金曜の夜。

自粛在宅勤務最終日とはいえ、

通常時と変わらず、休日前夜のゆるみが

気持ちを楽にさせる。

 

夕方から、だらだらと過ごし

惣菜の春巻きや、卵豆腐で空腹を満たして

ベッドで読書にいそしむ。

連日漫画5冊にハードカバー2冊。

なかなかの読書量だが、別に活字中毒になっているわけでも、愉しんでいるわけでもない。

起きている時間の潰しだ。

眠くなれば潰す必要もないのだが、

10時間以上も熟睡できる仕様にはなっていない。残念なことだけれど。

 

ひとりきりで空き時間を埋めるということは

そうしたくない時でも、そうすることで

そうしたい時にも、そう出来るということだ。

つまりは

自分の意思で、ひとりきりの時間を満喫する権利を得ているということ。

さみしいときだけ、かまってよ、とは

言えない。

彼はわたしのモノではないのだから。

 

読書以外に、手芸なり、なんなり、わたしが出来ることはたくさんある。

ただ、いま、創作意欲というものが

著しく欠乏しているだけの話。

時期が来れば、ひたすらにチクチクと縫い物をしたりするのだろう。

 

わずかな時間も、さみしさを感じずに

没頭できるであろうことなら、ほかにもある。

ただし、それらをするにはゆとりある収入を得る必要がある。

 

要はいま、読書くらいしか

潰せるアイテムがないのだ。

 

ラインを飛ばせば話し相手になってくれそうな人はわずかながら居る。

けれど、もはやゲーマーとなった彼を隣室に置いて

筒抜けでどんな会話が出来るというのだろう。

 

月曜から

非日常がゆるゆると日常に移行してゆく。

そうなれば、わたしには彼以外に触れ合う人や、仕事がある。

この、なんともうすら寂しい状況をすこしは

稀釈することができるだろう。

 

 

逃げちゃえば?

 

ささやく声が

すこしはちいさくなるだろう。

 

なくなりはしないだろけれど。