★ひとファイル★

馴染んだ、親しんだ、愛した、嫌った、わたしが出会ったひと達のお話

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

いちばん近くて遠いひと51

昼間、用もあって彼の職場に足を運んだ。 滞在できる時間はたっぷりあったのだが 年度末の整理業務に慌しく動く彼に 手伝えることはないか、と申し出るも、ない、との返事だったため、早々に仕事に戻った。 帰宅すると、ビーフシチューのような香りが部屋に…

閑話休題3

仕事の同僚らの話を。 個々に対すると親切で気さくな善人ばかりなのだが、裏事情というのがあるようで 図式にすると相思相愛純粋なハートマークを描けるラインはごくわずか。 なかでも件の怪獣カナちゃんを筆頭に 輪を掻き回さんと暴れるコは少なからず存在…

いちばん近くて遠いひと50

不思議な現象が起きている。 あのせつない夢の所為なのか。 土曜の会食のときに久しぶりに聞いた、 彼の柔らかな声の所為なのか。 いまとなっては コーヒーを飲む?と、声をかけるのが 精一杯の彼。 強引に布団に潜り込むことが出来るのも、 まだ夢の中で意…

閑話休題2

奇妙な夢をみた。 夢のなかでの出来事は 細かな部分は忘れてしまうのに その時感じた想いだけが色濃く残り、 目覚めた後の数時間、その色に翻弄されてしまう。 なんとも切ない気持ちを残したその夢は たしか 誰ともわからぬ想い人が登場し、 その方には幾人…

いちばん近くて遠いひと49

ゆうべ ギリギリと歯ぎしりをしながら ソファで眠る彼にむかって そろそろいっしょに眠りませんか、と声をかけた。 むろん返事はなく、歯ぎしりは続く。 無理やりソファに潜り込んで、 彼のお腹に背をつけて眠ろうとするも 目が冴えて眠れない。 そうこうし…

いちばん近くて遠いひと48

ぎしぎしぎりぎりがりがり すごい音を立てて彼が歯ぎしりをしている。 食事会は案の定、たのしい宴となり、 彼は鍋をアテにジョッキ3杯のビールと 酎ハイを3杯も胃に流し込んだ。 店から車で5分とかからない帰り道、 助手席からギリギリゴリゴリ音がする…

いちばん近くて遠いひと47

ソワソワしている。 彼と共通の知人に誘われたお食事会。 勝手知ったる仲とはいえ、 場所のみ指定があり、時間が定かでない。 今朝、彼に、何時始まりか連絡はあったか、 問いかけるも さぁ、6時くらいって言ってたんじゃないかな と 気のない返事。 もう間…

いちばん近くて遠いひと46

仕事終わりに夕飯の買い出しをして 図書館に寄って本を借りて帰宅。 彼は夕飯準備でキッチンにいた。 美味しそうなラーメンの香り。 全国名店セレクト宅配便のラーメンセットだ。 発注は2回目で、初回の時、これ頼もうかな、と呟く彼に同意して各店2食分入…

いちばん近くて遠いひと45

今日もバイトから帰宅した彼が 洗濯機を回している。 2人で暮らすようになった当初、 朝も帰宅してからも顔を合わせる環境になった事で、わたしはオールOKになったものだと思い込んでいた。 だから、 離れて暮らしていた頃のように 日中にこまめにラインを送…

いちばん近くて遠いひと44

事前に頼まれていたこともあって 今日は彼の職場へ。 2件使いをしに走り、そのまま業務研修に入る。 研修と言っても、専らわたしがわからないことを見つけ、質疑応答するという形式。 早く仕事を覚えるには実技からはいるのが最良だとは思うが、 いかんせん…

いちばん近くて遠いひと43

眠気に耐えながら帰宅。 彼は2日目のカレーを食べ終えて バイトまでの小一時間を仮眠にあてていた。 わたしも軽くレンジで温めた冷凍食品を食べ、 いつしか眠りに。 バイト仕度を始めた彼が立てる 遠慮のない音に目覚めた。 18時過ぎ。 彼が出てゆくのは3…

いちばん近くて遠いひと42

連休明けの月曜日。 すこしだけ気持ちが重くなるも気合いをいれて出勤。 あっという間に夕方を迎え帰宅すると 彼専用カレーが仕上がっていて、炊飯終了タイマーが鳴り響いていた。 今日のわたしの夕飯は、昼間食べ損ねたジャガイモとタラコのチーズパン。 彼…

いちばん近くて遠いひと41

3連休が終わろうとしている。 今日は図書館の日。 先週借りた10冊のうち9冊を返却して 5冊の漫画と3冊のハードカバーを借りた。 帰宅して漫画から読む。 先週借りた漫画の続編。 一気に読んで物足りなくなり、読んだばかりの5冊を紙袋に詰め、今一度図…

半分閑話休題

近くの図書館に毎週末通っている。 マンガ本5冊と文芸書5冊を借りてくる。 最近システムが新しくなり、選んだ本は バックに入れてカードと共に筒状ゲートをくぐるだけで貸し出し手続きが完了できる。 前にも借りたような気がしながら手に取ったのは 「夢をか…

いちばん近くて遠いひと40

ここで呟きはじめてひと月半になる。 近寄り過ぎないことで、 衝突を回避しているこの状況を、 安定と呼んでいいものか。 連休初日の今日、朝に仕事に行き、 帰宅とともに生理の鈍痛で眠ってしまった。 不快な夢から目覚めたのは、 彼が台所でがちゃがちゃと…

いちばん近くて遠いひと39

灯油が切れた。 買いに行くべきか、春を待つか悩むところだ。 朝晩は冷え込むが我慢出来ないほどではない。 仕事のキリが良く、いつもより早めに帰宅。 彼が夕飯を支度するのを待って 食べ始めたと同時にキッチンに立つ。 自分のを用意して、彼の隣で食べる…

いちばん近くて遠いひと38

週の半ばが過ぎようとしている。 ゆうべ、彼がバイトから帰宅後、 洗濯機を回し始めた。 洗濯は朝にわたしがするから、と申し出て 翌朝から出勤前に干して出ていたのに なぜだ。。疑問に思いながら考える。 ⓵単につい、癖で洗濯機を回してしまったから 干す…

いちばん近くて遠いひと37

タイツをストッキングにかえて 気分を春仕様に移行しているこの頃。 なんだかドタバタした1日だった。 合間に彼の職場に顔を出すも、 滞在時間の半分をわたしの業務連絡に費やしてしまった。 知り合いの接客中、楽しげに笑いながら 話をする彼。 沈黙の対象…

いちばん近くて遠いひと36

彼が寒空の中、バイトから帰ってきたとき わたしは風呂を済ませベッドに半身を起こして下半身に布団を掛け、スマホを触っている。 おかえり、と、小さく声をかけると わたしよりも小さく、はぃ、と返ってくる。 夜の部で働かず、まったりしてばかりいて ごめ…

いちばん近くて遠い人35

昨日はホワイトデーだった。 彼と。。再会、といおうか、 顔を合わせたのがちょうど4年前のホワイトデーだった。 4年前のふたりが今の私達の様子を見たら きっと驚くだろう。 目を合わせる事も出来ず、わたしが視線を外したタイミングで、わたしのことを熱…

いちばん近くて遠いひと34

昼間は春めいた陽気。 まだ朝夕肌寒くはある。 夕方からバイトに出る彼を見送ることに なれてきたようなそうでもないような。 今日もふたりの会話はわずか。 昨日より少しだけ多い。 おふろ、入ってないのか? ひさびさに彼発信の言葉。 シャワーを浴びよう…

怪獣3号カナちゃん

件の職場怪獣3号カナちゃん。 お父上が地元の名士とあって その名をふんだんに活かして 入社するやいなやガンガン成績を伸ばし 諸先輩方を圧倒することはや1年。 ラインのアイコンの下に、ご丁寧に 旧姓を入れ、かのお父上の娘であることを 誇示するセンス…

いちばん近くて遠いひと33

話をしなくても いられるものなのだな。 気持ちが落ちたり、心配事があったり 不安な思いに苛まれていても 相手にさとらせてはならない。 それはそれで横に避けておいて蓋をして 談笑したり、ふざけあったりしなければ、 それくらいは出来なければオトナでは…

美人怪獣あさみ

仕事のノルマ達成を激しく煽られ すこし辟易している。 毎月数字を追うのだが、それは社内規定のポジションによって個々に違う。 わたしには上からふたつ目の数字が課せられている。 仮に与えられた数字が100とするならば 80を毎月クリアすれば給与は安…

ウワノソラのクミコ

すこし気分が下がってきている。 幼少の頃から なにかが足らず、そのなにかに飢えていると感じていた。 気のいい母は、成金一家の長女で、 男尊女卑代表みたいな父親の一存によって 学を与えられなかった。 代わりに良妻賢母であるべく躾けられたわけでもな…

いちばん近くて遠いひと32

こころ穏やかな朝だったのに。 起き抜けに彼のソファに潜り込んで 背中抱っこで無言のスキンシップ。 灯油切れのアラームが鳴り 給油しようと灯油缶を取り出して 口を捻るもなかなか開かない。 彼が給油したあとは必ずこうなのだ。 幾度か、いくらなんでも固…

いちばん近くて遠いひと31

休日。 ゆっくり目覚めて、ソファで眠る彼が 横向きに身体を回すのを待って するりと潜り込む。 背中を彼の胸に押し当てて背後から 抱かれる形をとる。 くの字になった身体がふたつ並ぶ。 寝ぼけてわたしのお腹あたりに手を回す彼。 こうしていると 何もなか…

いちばん近くて遠いひと30

仕事の締め日が近い。 週明けには数字を上げなければならない。 こういうとき、焦りむやみに動いてどうにかなったためしがない。 ラストチャンスに、と取ったアポイントは夕方。 それまでは通常と変わらぬ動きをしていようと心に決めて、昼食を買って彼の職…

いちばん近くて遠いひと29

夕方からの時間がやたら長い。 あまりに長いので、急ぎ帰宅をせず 夕方に仕事を入れてみたりしている。 ほんの数ヶ月前まで 夕飯は当番制で作っていた。 彼が仕事に出るまでの時間に食べるために なるべく早く帰宅した。 帰ると部屋着に着替えて 彼の眠るソ…

いちばん近くて遠いひと28

仕事に夢中になれた1日だった。 合間に彼の職場に顔を出した。 今日はまだまだ初歩の段階の覚えゴトの確認。 いくらメモを眺めていても実践しなければ いつまでたっても覚えられない。 わかっているから、ウエルカムモードには見えない彼の背中に、意を決し…