★ひとファイル★

馴染んだ、親しんだ、愛した、嫌った、わたしが出会ったひと達のお話

いちばん近くて遠い人35

昨日はホワイトデーだった。

 

彼と。。再会、といおうか、

顔を合わせたのがちょうど4年前のホワイトデーだった。

 

4年前のふたりが今の私達の様子を見たら

きっと驚くだろう。

目を合わせる事も出来ず、わたしが視線を外したタイミングで、わたしのことを熱い眼差しで追っていた彼。

目に焼き付けに来た、とばかりに

わたしの一挙手一投足に注力していた彼。

 

今も変わらず目を合わせない。

合わせられないのではないだろう。

わたしを意識の外に追いやっているようだ。

 

何の気なしに土曜、買い物に誘ってみた。

思いがけず行くという返事。

ならば、とハンドルを握り、すこし遠いところへ彼を運んだ。

 

車中、話すことがない。

ずっと

ふたりのことや、互いに自身の話ばかりしてきた私達。

そこに触れないようにしている今

たわいない話題すら出てはこない。

 

それでも、思うままに話しかけてみるが、

肯定否定以外の言葉は彼から出てこない。

結局、わたしだけの買い物を済ませ

彼を付き合わせただけの話になってしまった。

 

いま、わたしはたいていのことを

彼の許可を得ることなくできる。

 

仕事で遅くなることや、

週末に仕事を入れること、

彼がバイトに出たあとひとりきりでいること、

食べたい時に食べ、時に食べず、

眠りたい時に眠り、時に眠らず、

ふらりと外出することもできる。

 

何時に帰るのか

どこへ行くのか

なにを買ってくるのか

なにが欲しいのか

なにをしようとしているのか

 

なにをどう考えているのか

 

互いに知らない。

文句もなければ不満もない。

 

彼にとって

いまやわたしは

自分以外のその他大勢なかのひとりにすぎないのだろう。

だから、話すこともなければ

意識することもない。

 

 

恋愛は4年で終わる、と、誰かが本に書いていたな。

きっちり4年だ。

 

彼はもう

わたしを見ないし、感じないのだろうか。

 

わたしはやっかいな

荷物に成り果ててしまったのだろうか。

 

捨てるまでもない

あったらあったでいいし

なくても困らないくらいの

 

そんなものなのかもしれない。

 

 

 

つまらない。