★ひとファイル★

馴染んだ、親しんだ、愛した、嫌った、わたしが出会ったひと達のお話

いちばん近くて遠いひと24

職場ですこし嫌なことがあり

かといって、帰宅をいそぐわけでもなく。

 

愚痴をこぼしたところで

エンパシー欠陥同士では共鳴できっこないし

なにより職場の愚痴は職場でこぼして、自宅に持ち帰るべからず、は学習済み。

 

夜のバイト先になるかもしれないお店で

昼の仕事の合間にランチ。

オーナーはお昼の仕事のお客様なのだ。

 

軽めの商談のあと、

ディナータイムのバイトの件だけど、

この新型ウィルス騒動が収まってからでもいいかな?と言われる。

 

ともに暮らす彼が、この求人をよく思ってないことが、ちらりと脳裏をよぎるも、いそぎませんよ、と返す。

ほかに行かれちゃったら困るからね、

言っておこうとおもって、と言われ

求められるって、やっぱりいいな、と感じる。

 

わたしのなかでは、このオーナーのもとで働くことは、ほぼ確定なのだ。

ここで人脈を濃くし、開拓することは

今後の昼の仕事にも繋がりうる、という打算もあるが

ネパールからやってきた従業員達の輪に入り込んで、異文化交流をはかるという楽しみもある。

 

あたらしいことや、しらないこと、どこにでもある環境から外れること、どれも大好きだ。

やってみなくてはわからない、と

飛び込んだ結果、とんでもないめにあうこともあるし、後悔することもある。

それでも、やっぱり惹かれて進んでしまう。

 

香辛料からつくるカレーは以前ハマって

オリジナルのチキンバターマサラを仕上げたこともある。

本場の調理人がなにをどう使うのか知りたい。

 

あのちいさな店のなかで、わたしは日本人代表だ。彼らの言語はまったくわからないし、彼らもオーナーの通訳がなければ、わたしの言葉は通じないだろう。

ジェスチャーから始めて、いずれか、互いの意思疎通がはかれるようになるとしたら

それはすごいことだとおもう。ワクワクする。

 

それに、制服がないのがとてもいい。

わたしは服を選んで着ることが大好きだ。

よそゆきカジュアルが定番。

彼と暮らすようになってから、被服費は抑え気味。

彼は、彼定番から外れた格好をしない。

色の好みも組み合わせも無難。

それはそれで似合っているし、何を選ぼうと自由なのだが、 

わたしが、わたしの好みの服を着て、その横に立つと

、かなりチグハグなふたりになることは明らか。

だから、ずっと彼に合わせた格好をするようにしてきた。

わたしはわたしを捨て置いていたのだ。

解放したい。

 

 

かなえるには

呪いを解かねばならない。

彼が唱えた呪詛は、これまでわたしを強く縛り付けてきた。

 

ぼくが快く思わないところで働くことをするのなら、それなりの心構えをしないとね

 

やわらかい言い方だけれど、要は

やめろ、だ。

 

ぼくといっしょ

ぼくとおなじように

お金の稼ぎ方、遣い方、有事の選択、

物事の捉え方、周囲との関係

どれもこれも、合わせて欲しい、と

望まれている、と感じる。

 

そうではない、と彼はいうだろう。

なら、この重圧はわたしがわたしたるせいで

勝手にのしかかってきたものなのか。

 

わたしと暮らすこのひとは

味方なのか敵なのか