★ひとファイル★

馴染んだ、親しんだ、愛した、嫌った、わたしが出会ったひと達のお話

怪獣3号カナちゃん

件の職場怪獣3号カナちゃん。

 

お父上が地元の名士とあって

その名をふんだんに活かして

入社するやいなやガンガン成績を伸ばし

諸先輩方を圧倒することはや1年。

 

ラインのアイコンの下に、ご丁寧に

旧姓を入れ、かのお父上の娘であることを

誇示するセンスは少々痛い気がするが、

本人のひととなりを伺うに、さもありなんという感じ。

 

ひとりっこらしい勝気さと自己中さは

二児の母となったからといって引っ込むものではないらしい。

 

彼女の特徴は、身体の大きさにばっちり合ったけたたましい笑い声。

言わない方がよさげなことをも大声で発言するため、場の空気が固まることもしばしば。

 

自身が話したい、と思ったら

相手が誰かと会話中であろうが、おかまいなし。

話したい、と、知りたい、の欲求は制御できない仕様になっているらしい。

 

数ヶ月先輩にあたる怪獣1号2号の給与が

いかほどなのか、知りたいと思えば

みせてもーらおっ、とか言いながら、がっつり

給与明細を覗くようなことをする。

なんというか、見ていてハラハラする。

 

顧客にも押して押して押しまくるような営業をするわりに、時に気弱モードを発動させて

上司に同行を願い出たりする。

先日は

同行は必要ないのじゃないか?と上司に言われたとたんに

行ってくれるっていったのにぃぃ。。と

わーん、わーん、子どもみたいな声をあげて泣き出してしまった。

たまたま真横にいたのだが、もう、どうしてくれようかわからず、げらげら笑うしかなかった。

 

親しい同僚が、自分を誘わず食事に出かけた、だとか、他の誰かとばかり話している、とか

そういうことが気になると黙ってはいられないらしく、周りにわぁわぁ言うだけでは収まらず

本人にむかって、がーがー火を噴く。

 

聞くに、難関名門校に進学するも、中退し、大検に合格するも大学進学はしなかった、という賞賛していいのかそうでないのかわからない経歴を持つらしく、頭はキレる。

 

他の怪獣同様、距離を取るようにしているのだが、

そんな彼女の、ちょっとだけ良いところを発見する機会があった。

 

とある顧客とのトラブルが発生した時のこと。まぁ、発端がわたしのミスから始まったことだったため、謝罪するほかなかったのだが、

平に頭を下げ続けて容赦願ったところ、

相手が、謝罪の必要のない別件まで絡めてきたため、所属のお上まで引っ張りださねばならない事態に発展してしまった。

 

その件について、上司とのやりとりは、社内のデスクに居れば、途切れ途切れ、断片的に聞こえてくるわけで、一同に

あ、ハナコさん、なんかやらかしたのだな、くらいはバレてしまう。

 

案じてくれる親しい同僚には詳しい説明をしたのだが、詳細を知らない外野は、憶測でヒソヒソ話したり

どこからか情報収集しようとしたりする。

そういうトコがいやらしいなぁと常おもう。

ダイレクトにわたしに問いかけるひとはいない。。。かと思いきや

 

ひとりだけいた。

 

興味津々おメメらんらん

ハナコさん、なんかあったんですか?

もしか略奪愛とかですかぁ?

 

さすが怪獣カナちゃん。

 

いやいや、略奪愛て。

違うよ、まったくそういう方面の話じゃないから。

慌てて否定した上で、まだ未解決な今

他言するわけにはいかないから、

いつか時効が来たら話すね。大丈夫だから。

ミスはしてしまったけど

法に触れるようなことは一切していないから、と、丁寧にあしらった。

 

さすが怪獣。ノーデリカシー!と思うと同時に、

憶測でヒソヒソコソコソあらぬことまで追加して他人の不幸を舐め舐めしてる輩に比ぶれば

よっぽどイイじゃないか、とも思った。

 

まぁ。。オトナになりきらないからこそ使える技ではあるが

彼女に直に聞かれたことで

何故だか少し救われた気がしたのだ。

 

だからといって

実はこんなこんなでこんなことがあってね。。

と、彼女に詳しく話して聞かせたりはしない。

 

怪獣だし。

弱みを握られちゃあ、いけないのだ。

 

手懐けたら手懐けたで

ウルトラマンを敵に回すことになるじゃないか。

 

わたしには、逃げ惑う一般市民の役どころが

いちばん似合っている。