★ひとファイル★

馴染んだ、親しんだ、愛した、嫌った、わたしが出会ったひと達のお話

いちばん近くて遠いひと13

学生の頃、姉の本棚から抜いて読んだその本は

海外の著名人の作品だった。

 

嫌われ者で夫にも愛想をつかされているとあるご婦人が、ひとり旅に出る。

自身に対する周りの評価など彼女は気にしていない。いや、評価点が低いなどとそもそも思っていない。

ところが

長いひとりきりの時間を過ごす過程で彼女は

過去を反芻しながら、ん?と思い始める。

まてよ、そういや、あの時のあの夫の反応。。。あら?。。もしか。。悪いのって

全部わたし?

なにせ汽車の長旅。時間だけはたんまりある。

膨大な記憶を取り出しては答えあわせをしてゆくうちに

彼女の疑念は確信へと変わって行く。

そうして旅は終盤にさしかかり、彼女は改心しきっている。

なんて愚かなわたし。みなわたしを許しながら居てくれた。わたしは気づいた。あなた、わたしは生まれ変わってあなたの元へ帰ります。

 

いよいよ汽車の旅は終わり、夫の姿をとらえた彼女の第一声や如何に。

 

結論からゆうとヒトはそんな簡単には変わらないというお話なのだが

読んでよかったと思える作品のひとつだ。

 

 

これまで彼とバトルを繰り広げてきては都度都度、自分も悪かったのだ、と思って

バトルの幕を引いてきた。 

その実、自分も悪かった、の悪いの配分は

五分五分ではないけどね、と思っていた。

彼が8でわたしが2くらいだと。

 

だから何度も勃発する。 

 

このご婦人のように心の長旅をしてみた時に

あ。。五分五分どころか、もしや

わたしが8なのか?と思えてきたのだ。

 

彼の圧に負けて彼の思い通りのわたしでいれば平穏なのでしょうよ。それってDVか洗脳だけどね、とか思ってきた。

ほんとうにそうなのか。。?

彼女のように旅の終わり、という時間的な区切りがないわたし。

いまいっときだけの気の迷いかもしれない。

考えすぎるとまた深みにハマりそうな気もする。

わたしはシロか、それともクロか。

 

もやもやソワソワしていたところへ

彼が

もう、出て行ってかまわない

自由になりなよと

わたしを手放そうとしたのだ

チャンスじゃないか。自由になれる。

 

そう思ったとたんにスコンと落ちてきた。

 

あー。

バトル。すればいいじゃない。何度でも。

彼が大声だしてわたしが悪態ついて。

彼は手を出したくなってパシパシわたしを叩きたくなったら叩きゃいいじゃない。

だからなんだというのだ。

 

彼に経済面で負い目があるなら

負い目に感じないようにすりゃいいじゃない。

コソコソ通販でバッグ買ったりしなきゃならないのは

あなたのものは半分わたしのもので

わたしのものは全部わたしのもの、と

してしまった結果なのだから

わたしのものも半分あなたのもの、とすればいいだけじゃない。

 

彼の仕事を手伝ってないのが負い目なら

手伝ってしまえばいいだけじゃない。

 

そうしてもなお、やっぱり彼に言いたくない事や自分だけで処理したいことはある。

それはそれで胸張って秘密にしとけばいいだけじゃない。

秘密は墓場まで持っていけばいいのだ。

 

ひとはそんな簡単には変われない。

変われないけれど

変わろうとしようとすることを

するかしないかは、きっと大差だ。

 

こういう切り替えができるわたしって

なかなか良くない?

 

10日に渡る長旅はようやくいったん

終わりを迎えそうだ。