★ひとファイル★

馴染んだ、親しんだ、愛した、嫌った、わたしが出会ったひと達のお話

打たれっぱなし70

泣くわけにはいかないのでここへきた。

 

すこし忙しく過ごした午前。

午後から萎える気持ちに鞭打って彼の職場へ。

 

実践しなければいつまでたっても戦力になれないと悟り、

ぶっつけで彼の定席にすわるようになって3日目。

 

少しずつだけれど

聞かずに出来るようになった操作があり、

ほんの少しだけ、やれるかも、と思い始めた矢先。

 

ひとりで

たっぷり時間をかけて

調べて丁寧にやればきっとできる業務。

書類を確認、対比したり

キーを叩いたり、書類を機械に挿入したり、

決まった一連の動作がスムーズにゆかない。

 

彼が横に立ち、ひとつ迷うと

脳内フリーズ状態。

いわゆる真っ白になる、というやつだ。

覚えた流れがすべて吹き飛んでゆく。

 

みている方は苛々するだろう。

それはよくわかる。

ともかく焦りを取り払い、言われるままに全てをやり終えたところで、いまいちどメモを取ろうとするわたしを制して

彼が言う。

 

いくらメモをしたところでだめだよね?

いま、自分がどこでつまづいたか、

そのポイントだけ抑えれば済む話でしょ?

僕は、いまやったその業務、1回やったら

出来るようになったよ?

だいたいがさ。。云々。

 

黙ってひたすら聞き続ける。

反論はすることはなにもない。

本当はこんな仕事したくないけれど

しろ!と言われ、するよ!と返した以上

彼のやり方で進めるほかないのだから。

 

わたしはかなり、ひどく、信じられないくらいに物覚えが悪い。

ならメモを。。もちろん取っている。

他人に話しても理解しづらいだろうが、

まずは頭で完全に理解するまでにえらく時間がかかる。

同じところをしつこいくらい行ったり来たりする。

そこから、知識と動作をドッキングさせるとなるとさらに時間がかかる。

ドッキングした!大丈夫だ!となったからといって油断もできない。

油断したら、ふっ、とした拍子に真っ白になる。

 

昼間の仕事の似たような業務ならば

こなせるのだから、たぶん馬鹿ではないのだ。

彼や他の人のように抵抗なく身につけば

どれだけいいだろうかと思う。

 

学習能力のどこかが欠落しているのだといつもおもう。

だから

彼のように苛立ち、なぜ出来ないのか、と真顔で問いかけてくる相手には

真顔で答えたくなる。

 

なぜ出来ないのか、わたしが1番知りたいよ。

 

 

返事をしないわたしにさらに苛立ったように

もうやめる?とたたみかけてくる彼。

 

やめたいからできないとでも思っているのだろうか。

できないことをみせつけるために

毎日来ているとでも思うのだろうか。

やめる?と聞くことの意味を教えてほしい。

それは単なる怒りじゃないか。

 

謝ることも

反論することもなく時間が来たと同時に

帰ってきた。

涙が出たけれど

そんなもんは流しっぱなしにしてても

誰も見ないから問題ない。

 

 

おまえは

ほんとうに

性格も根性も態度も仕事も全部だめだよな

 

そう言われていると感じてきた数ヶ月。

そんななか、それでも彼のところに通う自分を

自分で応援してきた。

 

 

 

彼はわたしのなんなんだろ。

 

つらいことしか

ない