★ひとファイル★

馴染んだ、親しんだ、愛した、嫌った、わたしが出会ったひと達のお話

いつかつくるもの

あしたやろう、は、バカヤロー

とはよく言ったもので。

 

思い立ったことを、すぐさまではなく、

明日からやるぞ!と先送りにするようでは駄目だ。

それでも明日から、ならまだマシで

いつか、いつか、と思い描く愚か者が此処にいる。

 

ぼんやり暇をもてあました挙句に

あ、こんなの作ったらどうだろう。。と

思いついては頭の中だけで具体化してほくそ笑む。

 

最近おもいついたのは

リアルなわたしの欲しい家のミニチュアだ。

ホールケーキくらいの大きさで

ワンルームなれど基礎から作り、もちろん材料だって本物の木材や断熱材やモルタルを使って

実物を縮めただけのリアルなお家をつくるのだ。

真四角のその家は、四方の一面は玄関。あとの3面は窓を取り付け、床は白塗りのフローリング。壁は手作業で塗りたくった風合いにして。

豆電球を部屋の中央に吊り下げ、ソファとベッド、キッチンにトイレ、バスタブ、テーブルを設置するのだ。

ベッドのカバーの端や、カーテンが雑に切りっぱなしになっているような、お人形ハウスではだめ。

実際に小人がいたとして、

彼らが、私たち標準サイズの人間と

なんら変わらぬ暮らしが出来るようなクオリティ。

丁寧に、丁寧に、時間をかけて

材料をあつめ、細かな部分まで作り上げる。

ドアノブはちゃんと回って、きぃきぃ鳴らずに開閉しなければならないし、

ソファの内部にはコイルが入っていて

弾力を持たせねばならないし、

キッチンのシンクはステンレスかホーローでなければならない。

テーブルに添える椅子の脚がガタガタいうようではだめだ。

 

昔、描いた漫画に

「地球生命体縮小計画」というのがある。

あらゆる生き物が繁殖過多した未来に

生命体の総量に対する地球の広さが足らなくなり、

どこかの発明家が作った縮小ビームを宇宙から地球全体に浴びせることによって

地球上の生命体がすべて10分の1サイズになる、というお話。

 

160センチのわたしは16センチになるわけだ。なんともコンパクトではないか。

動物も虫も、もれなくビームを浴びさせなければ、人にとっては、おぞましい世界になってしまうのだが、

そこは、もれなくビームを浴びました、ということで。

 

ビームを浴びる前に、人間達は縮小した先の住処を準備する。

ちいさな家をつくるのだ。

 

電気の配線や、下水道とかを考えるとしたら

まずはベースとなる居住区が作られるだろう。

そのなかの一画が各家庭に与えられるのだ。

ハウスメーカーがこぞってミニモデルハウスを展示する。

まだ縮小されていない人間達は

虫眼鏡を片手にモデルハウスを覗き込む。

 

まぁ

実際に、と考えると

様々な問題が生じる無謀な計画なのだが、

 

リカちゃん人形の洋服はなぜあんなに

雑に出来ているのだ、とか

ミニチュア家具って要はおもちゃだ、とか

文句ばかり言ってきたわたしは

完成度の高い、ちいさいものが好きなのだ。

 

いつか

いつか

 

明日か

 

今日か

 

やるか

やらぬか