★ひとファイル★

馴染んだ、親しんだ、愛した、嫌った、わたしが出会ったひと達のお話

降臨 いちばん近くて遠いひと65

ヒトというのは。。。すばらしい。

 

ひとつの物事を懸命に時間をかけて

突き詰めて考えれば自ずと答えに導かれてゆくものなのだ、と、ついさっき体感した。

身が震えるほどの衝撃だ。 

 

なにしろこのカテゴリ65巻である。

超大作ゆえの長時間執筆。(厳密には長時間フリック)

 

彼がわたしより8つも年下なのだ、ということは、喧嘩の度に彼のターンで繰り出されたカードなのだが、

それがなによっ、とばかりに火炎噴射で焼き払って、ダメージを受けることはなかった。

だけど、そのカードを改めてしげしげ眺めていたら、スコンっ、と何かが降りてきた。

 

あ。。

わかってしまった。。という感じ。

 

男女の関係だから私達はうまくゆかないのだ。

年の差のある異性の友人であれば

彼ほど一緒にいて気楽なひとはいない。

 

彼、彼女だ、という前提のもとに

共に暮らし始めたから諍いしか起こらなかったのだ。

彼はわたしの持つもの全てを眺めては

僕より多すぎる、欲張りだ、同じだけに揃えなよ、と畳み掛け、

わたしはわたしで、彼のわずかな持ち物の中から、わたしが持っていないものがあるのを目敏く見つけ、そんな宝があるのだからいいじゃないか、と嘯いた。

経済力でわたしに勝っている彼に

ケチケチせずに、稼いだものは合算してつかっちゃおーぜ、と厚かましくなったりもした。

 

友人になら決してしないことをやりあうふたり。

 

悪態、暴言、無視、妬み、嫉み

他人には見せないドス黒い部分を

余すところなく披露しあってきたのだ。

 

夕方

彼が仮眠するソファに、添い寝しようと

いつものように潜り込みに、足音忍ばせて近づいたら、ぱちっ、と彼の目が開いた。

一瞬ひるみながら、それでもするりと身を滑り込ませてみた。

眠りの中にいない、意識のある状態で

そうしてみたら、彼がわたしと密着しないように腰を引いたのがわかった。

それでもぴたりと背中を彼のお腹に当てるようにしてみたら

あ。

彼にはもう、気持ちがないのだ、と

身体が教えてくれた。

 

この、無意味かもしれないスキンシップを始めてから気づいてはいた。

彼の身体が硬いことに。

以前の彼は背後からわたしを抱くときに

柔らかな感触を与えてくれていたのだが

狭いスペースだという理由を除しても、背に感じるそれは、圧迫感だった。

 

彼と、男女でいられる時は過ぎてしまったのだな、と悟ったとたんに

挨拶を返してくれないことや、

わたしにだけ向ける仏頂面や、

雑な物言いが

取るに足らないコトの集まりのように思えた。

 

こころのなかで語りかけてみる。

 

かつてのように呼び捨てにして。

 

タロー

いままでずっと酷いことを言ったり

甘えきってきてごめんね。

スコン、が降りてきちゃってさ。

わたし、思い出したよ。

タローは8つも下のオトコノコだったね。

ゆるす。

殴られたことも、罵詈雑言も、ぜんぶ。

 

タローは、

わたしをたくさん助けてくれたのにね。

助け方がへたっぴだ、

さらに助けろ

嫌そうにするな、

文句ばっかり言ってきたね。

そりゃ、キレるよね。

 

わたしね、スコン、が降りてきたから

オトコとしてタローを見られなくなった。

一時的なものではないと思うんだ。

タローも、きっと同じでしょ。

だから半年前からベッドが別になっちゃったんだよね。

 

この先のことだけど

 

ひとりで考えたプランがあるんだ。

 

聞く?

 

それともまた

話はしない、って逃げる?