★ひとファイル★

馴染んだ、親しんだ、愛した、嫌った、わたしが出会ったひと達のお話

知るは残酷な事実ばかり66

ひらめき降臨の後に

いざ行かん!議席に!

不参加許さじ!引き摺り出すぜ!

の、勢いを持って出陣した結果

 

甘い武装を攻め込まれ

傷まみれになって

再起不能に陥った一昨日。

 

話さないものを話して話して

絞り出そうとした結果、得たものは。。

 

彼はわたしの鏡だという

なんともシンプルな答。

 

気持ちは

わたしが与えるぶんだけ

きちっと彼から与えられる。

 

見事に測ったように、ぴったり同じ分量。

几帳面で律儀な彼らしい。

 

だけどもそれはまぁ、当然で。

 

わたしは、自分が彼に与えるそれの量よりも

たくさん欲しいと望んでいたというわけだ。

 

なぜ彼はこんななんだろうか、と

不満が溜まっていった背景には

わたしがそんなだったからだ、という

わかりやすい理由があったのだ。

 

彼以外にも案じ見守りたいと願うひとがいることや

わたしには彼の居ない時間を愉しむ術があるということが

彼にとっては受け入れがたい事実だったのに

仕方のないことだと、軽く処理してきた。

 

離れて暮らしていたって、わたしが生んだ子を

わたしが絶えず気にすることは

おかしなことだと思えないし

ふたりでいる時間のほかに、ひとりでしたいことがあるのも、当然だと思ってきた。

 

彼にとってはどれもこれも、わたしの、当然、は望まないことばかりだった。

 

ふたりぽっち、に

なるために、この部屋を用意したのに

ひとりぽっちと、そうでないもうひとりで

暮らしているのだと気づいた彼は

すこしずつ後ずさりするように

わたしとの距離をひらいてゆく。

 

毎日あった帰宅を知らせるラインが無くなり

たわいのない会話が無くなり

ねようか、の合図が無くなり

おはよう、も

おやすみ、も

いってきます、も

ただいま、も

なくなった。

 

わたしの目を見て話すことや

かわいらしいねぇ、と目を細めることも

 

なにより

 

話しかけてくることがいっさいなくなった。

 

 

不安なのだ、と彼は言う。

不安なわたしを差し置いて

不安なのだと言う。

その不安は

 

わたしが居なくなることではなくて

 

わたしと居たいという

きもちが消えることなのではないかと

そうおもう。

 

 

必要ではある

 

それだけなのかもしれない。

 

今日も脱力しながら

それでも不安なわたしは

彼の寝床にしのびこむ。