★ひとファイル★

馴染んだ、親しんだ、愛した、嫌った、わたしが出会ったひと達のお話

流れ出す67

悪い波が押し寄せてきた。

 

夕飯を差し出し

気の無い、ごちそうさま。。を聞き

彼を送り出したとたんに薄黒い何かが

どろりと左右の胸の間あたりから流れて止まらない。

 

わたしをみないひと。

 

寝床にゆけば頼りなく抱きしめてくれる。

行かなければひとりで眠る。

 

彼はまるでそれが誉れのように言う。

僕にはひとつだけ誰にも負けないものがある、

それは誰よりもハナコというひとを

知っているということだょ。

 

その言葉が今のわたしにとってどれほどに

恐ろしいものか、わからないのだろうか。

 

さんざ、ダメ出しをされた後に

そう言われることがどういう捉え方をされるか

わかっていて重ねるのだろうか。

 

おまえなんかだめだ。

これほどにだめだ。

 

知らしめるその言葉に愛を感じるとおもうのだろうか。

 

かつて

あうたびに、言葉の端々に

ガラス片を散りばめるようにしてジクジクとわたしを刺したあの人に

立ち向かう事が出来なくて

自分を消したいと虚ろな日々を過ごしたことや、

そこから這い上がり、ケアをして

生きやすさを取り戻した経験について

幾度も彼に話してきたというのに。

 

今や彼も、あのひとと同じようにわたしをジクジク刺し続ける。

 

またあの闇に引きずり戻されるのか。

 

わたしを誰よりも知る彼なら

わかるだろうに。

 

わたしがいま

逃げてしまいたいと

思い始めていることに。

 

 

彼の正解は

わたしの

不正解。

 

わたしの正解は

彼にとっては

不可解。