★ひとファイル★

馴染んだ、親しんだ、愛した、嫌った、わたしが出会ったひと達のお話

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むくむくと湧き上がる想いを

団扇で扇ぎたいと、思うと同時に

これまで彼に烙印された、「ハナコというひと」短編集をめくって蓋をしようとする自分。

 

素直な感情をあらわすとしたら

わたしはいま怒っているのだ。

 

火急にと求められて彼の元へ

裸でひとつで飛び出して駆けつけた。

 

そしたら

全身全霊を僕だけに捧げてくれるヒトではなかった、と言われ

ならば僕はお金を、ハナコは精神を、の

当初のバランスは崩れたのだ、とされ

働いても、彼より収入が劣るというだけで

経済的負荷をかしつづけているかのように言われ、

僕は与え続けている、ハナコはくれない、ばかり言われ続け

あげく、彼の仕事をいつまでたっても覚えようとしない事を酷い仕打ちのように責められ

なんなんだ!

 

平日休めない仕事を選んだのは誰だ!おまえだ!

 

ずっと首を傾げながらも聞いて納得しようとしてきた。

だけどやはり腑に落ちない。

 

まるで

都落ちしたいからと助けを求め、

手助けしてくれるなら、わたし、あなたの

仕事のパートナーになるわ、

ついでに他の仕事も2つ3つ同時にやって

あなたの支えどころか、あなたより稼いで

さらにあなたを愛で包み倒すわ。窒息するくらいにねっ、

8つも年上なのに、あつかまし

側においてもらうことができるなら

なんだってするわっ

なんだって言うことは聞くし、くちごたえなんか絶対にしないからっ

 

とか、平に平にお願いして始まった同棲生活を

わたしが反故にしたかのような責められ方。

 

いまさらいうか?

年上はね、

年下が側に居てくれる、というだけで

もうそこにはすごい価値があるんだよ

 

まてこら小僧。

 

おまえが欲しいのは彼女でもなきゃ妻でもない

かあちゃんだろ。

 

かあちゃんだから

小僧を置いて出かけたりしてはならないし

絶えず小僧がひとりだということを念頭に置かねばならず

仕事だろうが、付き合いだろうがオールNG。

拗ねたら構いにいって、よしよし

かあちゃんが悪かったねえ、と宥め

悪態暴言暴力にも対抗してはならず

思春期の少年を扱うようになすがまま、なされるがままにいなくてはならない。

 

気づいてしまってから

冷ややかな風が心を通り過ぎて行く。

 

母親を頓挫して駆けつけた先で

母親をやれ?

 

 

無理でしょ。

 

わたし、あなたをオトコだとおもって

いっしょになったのだし。

 

オトコじゃないなら無理でしょ。

 

こども、いらないもん。