★ひとファイル★

馴染んだ、親しんだ、愛した、嫌った、わたしが出会ったひと達のお話

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シンジじゃあるまいし。。とか

自分にツッコミ入れながらも

逃げちゃダメだ!を合言葉に午後から

彼の職場に。

 

数件業務をこなし、ちょっとは慣れてきたかな、と思った矢先

いつもの処理の複合バージョンがやってきた。

とたんにアタマが真っ白に。

開始と終了時にワンクリック追加して、

既に覚えたバージョンを1つずつこなせば終わる内容だったのだ、と後で知ることになるのだが、

顧客の面前でフリーズしたわたしに

不機嫌に小さく低い声で、代わるからっ!と

告げて席を奪う彼。

所在無く立ち竦むようにして彼の処理を背後から眺める。

対応が終わった後、何をどう処理したのか

アタマを回すわたしに彼が

「普通にやるだけ。目新しいことをやるんじゃない。分けてやることもできるけど、普通はしない。」と怒気を含んだ声で言い放ちながら睨みを利かせる。

 

動揺してはいけない。

コイツの悪態には辟易しているが、もう、職場で最高に嫌な奴、と分かりきっているのだから

いちいち振り回されるな。

冷静に冷静に一連の流れを頭で繰り返しながら

メモを取る。

近頃、悪態&叱咤のあと、必ずノートにメモを取るのだが、横に走り書きを足すことにしている。

ばかっ!うるせー。

やな言い方!感じ悪っ!きらいっ!

感情そのままを書いておく。

ちょっとした憂さ晴らしだ。

 

それでも、彼は職場では比較的穏やかで

日によっては、世間話程度の会話を振ってくることもある。

適度な相槌と、適温で対応する。

公私混同せず、自宅でのヤツが、わたしにとってどんなに

ツマラナイオトコに成り下がっていようが

職場では気を遣う上司なのだから仕方ない。

 

が。。

 

こちらから振った世間話を無言でスルーされたことにカチンときてしまい、

他の用事を理由にさっさと帰宅してきた。

 

ほらね、必要なだけじゃん、

情や想いなんかどこにもない、と気持ちが沈んだまま夕飯の支度にとりかかった。

 

今日はバイトが休みらしく夕方からふたりきり。

借りてきた漫画を読むことにした。

気晴らしになれば、と、読み進めていたら

あまりの面白さに、ぶっ!と吹き出しそうに

なる。

なんとか空咳で誤魔化し、

それでも漏れだしそうな笑い声を

布団に口をあてて堪える。

こんな状況で、ひとり爆笑してたらおマヌケすぎる。

 

どんなに凹んでいても、不安が山積みでも

面白いことがあったら爆笑しちゃうんだなぁ、自分。

 

たぶん、わたしも

必要なだけなんだろな。彼のこと。

楽しかったときもあったのにな。

 

わたしの話にまったく関心のない彼のこと

好きだとか思えないし。

 

夫婦でもないのに

晩年夫婦然なんか

やだし。