★ひとファイル★

馴染んだ、親しんだ、愛した、嫌った、わたしが出会ったひと達のお話

いちばん近くて遠いひと58

ひさびさにテレビをつけたら 占い師が若い女性に語りかけていた。 「自分自身のことだけを考えていると、病むんです。自分より他者のことを懸命に考えている間は病んだりしない」 そうかもしれないなぁ、と素直に思える。 ひとりきりで自分を掘り下げて 過去…

いつかつくるもの

あしたやろう、は、バカヤロー とはよく言ったもので。 思い立ったことを、すぐさまではなく、 明日からやるぞ!と先送りにするようでは駄目だ。 それでも明日から、ならまだマシで いつか、いつか、と思い描く愚か者が此処にいる。 ぼんやり暇をもてあまし…

いちばん近くて遠いひと57

ゆうべ ご無沙汰しすぎた友人にラインを。 流行病の事。 マスクは足りているかの確認。 ついでの近況報告。 彼との出来事は かいつまんで話しても伝わりにくい。 いっしょに暮らしているけれど 話しもせず、ご飯も別で。 そうなった理由は鬱積したものをぶつ…

日本のまんなかあたりで

エアコンをいれるくらいに肌寒い日だった。 出勤はしたものの、明日以降の在宅勤務にあたっての説明を受けて解散。 これほどにウィルスが蔓延するとは 思ってもみなかったし、短期収束、オリンピック開催には間に合うのだろう、と楽観していたことが嘘のよう…

いちばん近くて遠いひと56

タバコの話を。 成人してだいぶん経ってからタバコを吸うようになった。 ちょっとしたことで脳内にプチパニックを起こすわたしは、 逸る気持ちを諌めるために、緊張する場面に向き合う前に一服する。 深呼吸をして体勢を整える儀式のようなものだ。 付き合い…

「あきゅらいず」使ってみた話

毎日更新のライン漫画を読んでいる。 広告を視聴すると翌日更新分が先読み出来たりする。 なので、せっかちなわたしはよく、広告を視聴してしまうのだが、そこでシツコイくらい流れてくる「あきゅらいず」という 基礎化粧品コマーシャルと出会った。 商品の…

いちばん近くて遠いひと55

特に理由はないけれど いつしか彼の領域となっているソファに座っている。 隣にいるからといって 触れ合うわけでも話をするわけでもない。 ただいるだけ。 彼は彼でスマホを触ったりゲームをしたり わたしはひたすら漫画を読んだりして 各々の世界に浸ってい…

いちばん近くて遠いひと54

日付が変わる1時間くらい前に バイトから彼が帰ってくる。 がちゃっ、と玄関の鍵を回す音がすると 胸がぎゅっ、となる。 これは今のような無言大会になる前からの事。 仲良くしているときも わたしは彼の帰宅の度に胸がぎゅっと締め付けられ、身を竦める癖…

いちばん近くて遠いひと53

話はいいです そう、返信がきて、なんというか 折れそうな気持ちが、ポキっとは折れず 折れる筈のそのポキっ、の本体そのものが 形状を変え、曲がったまんまになったような。 ポッキーがグミに変わった、という感じ。 相手の気持ちが読めないときに 自身と同…

夢記録

長い時間の運転に疲れたか、夕寝してしまった。 情緒乱れ気味なこの頃、たまに 後味しっかり残る夢をみる。 水路に子供が仰向けで流れてくる場所があるのだ、と誰かしらに教えられ、 車を走らせてかけつけると 坂道から下ったS字の道路の脇を沿う、水路とい…

いちばん近くて遠いひと52

なんとなく限界だ、とおもい 昼過ぎに家を出た。 ソファに横たわる彼に いってきます、の声をかけることもせず 扉を閉めてでた。 2時間ほど徘徊したら帰るつもりだったのに どうしたって帰る気になれず おもいたって、遠出をするけれど 帰るから心配しない…

いちばん近くて遠いひと51

昼間、用もあって彼の職場に足を運んだ。 滞在できる時間はたっぷりあったのだが 年度末の整理業務に慌しく動く彼に 手伝えることはないか、と申し出るも、ない、との返事だったため、早々に仕事に戻った。 帰宅すると、ビーフシチューのような香りが部屋に…

閑話休題3

仕事の同僚らの話を。 個々に対すると親切で気さくな善人ばかりなのだが、裏事情というのがあるようで 図式にすると相思相愛純粋なハートマークを描けるラインはごくわずか。 なかでも件の怪獣カナちゃんを筆頭に 輪を掻き回さんと暴れるコは少なからず存在…

いちばん近くて遠いひと50

不思議な現象が起きている。 あのせつない夢の所為なのか。 土曜の会食のときに久しぶりに聞いた、 彼の柔らかな声の所為なのか。 いまとなっては コーヒーを飲む?と、声をかけるのが 精一杯の彼。 強引に布団に潜り込むことが出来るのも、 まだ夢の中で意…

閑話休題2

奇妙な夢をみた。 夢のなかでの出来事は 細かな部分は忘れてしまうのに その時感じた想いだけが色濃く残り、 目覚めた後の数時間、その色に翻弄されてしまう。 なんとも切ない気持ちを残したその夢は たしか 誰ともわからぬ想い人が登場し、 その方には幾人…

いちばん近くて遠いひと49

ゆうべ ギリギリと歯ぎしりをしながら ソファで眠る彼にむかって そろそろいっしょに眠りませんか、と声をかけた。 むろん返事はなく、歯ぎしりは続く。 無理やりソファに潜り込んで、 彼のお腹に背をつけて眠ろうとするも 目が冴えて眠れない。 そうこうし…

いちばん近くて遠いひと48

ぎしぎしぎりぎりがりがり すごい音を立てて彼が歯ぎしりをしている。 食事会は案の定、たのしい宴となり、 彼は鍋をアテにジョッキ3杯のビールと 酎ハイを3杯も胃に流し込んだ。 店から車で5分とかからない帰り道、 助手席からギリギリゴリゴリ音がする…

いちばん近くて遠いひと47

ソワソワしている。 彼と共通の知人に誘われたお食事会。 勝手知ったる仲とはいえ、 場所のみ指定があり、時間が定かでない。 今朝、彼に、何時始まりか連絡はあったか、 問いかけるも さぁ、6時くらいって言ってたんじゃないかな と 気のない返事。 もう間…

いちばん近くて遠いひと46

仕事終わりに夕飯の買い出しをして 図書館に寄って本を借りて帰宅。 彼は夕飯準備でキッチンにいた。 美味しそうなラーメンの香り。 全国名店セレクト宅配便のラーメンセットだ。 発注は2回目で、初回の時、これ頼もうかな、と呟く彼に同意して各店2食分入…

いちばん近くて遠いひと45

今日もバイトから帰宅した彼が 洗濯機を回している。 2人で暮らすようになった当初、 朝も帰宅してからも顔を合わせる環境になった事で、わたしはオールOKになったものだと思い込んでいた。 だから、 離れて暮らしていた頃のように 日中にこまめにラインを送…

いちばん近くて遠いひと44

事前に頼まれていたこともあって 今日は彼の職場へ。 2件使いをしに走り、そのまま業務研修に入る。 研修と言っても、専らわたしがわからないことを見つけ、質疑応答するという形式。 早く仕事を覚えるには実技からはいるのが最良だとは思うが、 いかんせん…

いちばん近くて遠いひと43

眠気に耐えながら帰宅。 彼は2日目のカレーを食べ終えて バイトまでの小一時間を仮眠にあてていた。 わたしも軽くレンジで温めた冷凍食品を食べ、 いつしか眠りに。 バイト仕度を始めた彼が立てる 遠慮のない音に目覚めた。 18時過ぎ。 彼が出てゆくのは3…

いちばん近くて遠いひと42

連休明けの月曜日。 すこしだけ気持ちが重くなるも気合いをいれて出勤。 あっという間に夕方を迎え帰宅すると 彼専用カレーが仕上がっていて、炊飯終了タイマーが鳴り響いていた。 今日のわたしの夕飯は、昼間食べ損ねたジャガイモとタラコのチーズパン。 彼…

いちばん近くて遠いひと41

3連休が終わろうとしている。 今日は図書館の日。 先週借りた10冊のうち9冊を返却して 5冊の漫画と3冊のハードカバーを借りた。 帰宅して漫画から読む。 先週借りた漫画の続編。 一気に読んで物足りなくなり、読んだばかりの5冊を紙袋に詰め、今一度図…

半分閑話休題

近くの図書館に毎週末通っている。 マンガ本5冊と文芸書5冊を借りてくる。 最近システムが新しくなり、選んだ本は バックに入れてカードと共に筒状ゲートをくぐるだけで貸し出し手続きが完了できる。 前にも借りたような気がしながら手に取ったのは 「夢をか…

いちばん近くて遠いひと40

ここで呟きはじめてひと月半になる。 近寄り過ぎないことで、 衝突を回避しているこの状況を、 安定と呼んでいいものか。 連休初日の今日、朝に仕事に行き、 帰宅とともに生理の鈍痛で眠ってしまった。 不快な夢から目覚めたのは、 彼が台所でがちゃがちゃと…

いちばん近くて遠いひと39

灯油が切れた。 買いに行くべきか、春を待つか悩むところだ。 朝晩は冷え込むが我慢出来ないほどではない。 仕事のキリが良く、いつもより早めに帰宅。 彼が夕飯を支度するのを待って 食べ始めたと同時にキッチンに立つ。 自分のを用意して、彼の隣で食べる…

いちばん近くて遠いひと38

週の半ばが過ぎようとしている。 ゆうべ、彼がバイトから帰宅後、 洗濯機を回し始めた。 洗濯は朝にわたしがするから、と申し出て 翌朝から出勤前に干して出ていたのに なぜだ。。疑問に思いながら考える。 ⓵単につい、癖で洗濯機を回してしまったから 干す…

いちばん近くて遠いひと37

タイツをストッキングにかえて 気分を春仕様に移行しているこの頃。 なんだかドタバタした1日だった。 合間に彼の職場に顔を出すも、 滞在時間の半分をわたしの業務連絡に費やしてしまった。 知り合いの接客中、楽しげに笑いながら 話をする彼。 沈黙の対象…

いちばん近くて遠いひと36

彼が寒空の中、バイトから帰ってきたとき わたしは風呂を済ませベッドに半身を起こして下半身に布団を掛け、スマホを触っている。 おかえり、と、小さく声をかけると わたしよりも小さく、はぃ、と返ってくる。 夜の部で働かず、まったりしてばかりいて ごめ…